大判例

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福岡高等裁判所 昭和28年(う)756号・昭28年(う)760号 判決

論旨は、原判示第一の甲(一)の各事実について、被告人は判示組合の貸付業務に関し、その権限を有していたものであるから右職務遂行に当りその権限を超えて貸付けたとしても、背任罪を構成することあるは格別、横領罪は成立しないと主張するにあるが原判決が挙示する関係部分の証拠に徴すると、被告人が判示農業会及び改組後の農業協同組合の庶務、金融の両掛主任を兼ね、現金の出納保管、預貯金の受払、貸付の業務を担当し、金銭貸付はその職務権限に属していたことは相違ないけれども相被告人古野盛雄に対し、同組合の金員を貸付けた各所為はすべて同組合の貸付に関する正規の方法、形式を履践することなく、被告人の保管に係る組合の金員を、自己の所持金の如くにして貸付け、これについて相被告人古野からは、組合に対して、手形、借用証書等組合が該債権を行使するために必要とする何等の書類も差入れられていないことが明かであるので、右は単に被告人の貸付に関する職務権限を超えて、不当にその業務を遂行したものに止まらないのみか、これを同組合の業務たる貸付行為とみるに由なく、従つて被告人は、自ら古野に貸与する意思を以て、自己の業務上保管する組合の金員を不法に領得したものと認めるのほかはなく、右認定を妨げる証拠は記録上存しない。それで原判決が判示の如く認定し、被告人の右各所為を業務上横領罪として処断したことはまことに相当で、原判決には所論のような法令の適用を誤つた違法はなく、論旨は理由がない。

(後略)

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